自己紹介（杉本）

初めましての方は初めまして。

いつかどこかでお会いしたことのある方は、ごきげんよう。

杉本涼真と申します。ぱる公には初めての参加となります。

この度は代表さんのお誘いで公演に参加させていただく運びとなりました。

本当にありがたい機会をいただきました。

杉本涼真という存在と初めて出会ったという方のために、簡単な自己紹介を致します。

杉本涼真は兵庫県出身の22歳です。山口大学で哲学を勉強しています。卒業論文は、西田幾多郎という明治の哲学者の著作である『善の研究』を研究しました。

趣味は読書と映画鑑賞、散歩です。最近は短歌の制作も始めました。小説では、佐藤さくらさんの『魔導の系譜』シリーズ、サン＝テグジュペリの『星の王子さま』（特に河野万理子さんの訳がおすすめです）、ヴェルコールの『海の沈黙・星への歩み』が私の宝物です。短歌では、笹井宏之さんの『えーえんとくちから』、千種創一さんの『千夜曳獏』を愛読しています。

演劇経験は大学生からです。大学以前から演劇に興味はあったのですが、中学、高校と機会に恵まれませんでした。大学では劇団笛に所属をしておりました。そこで多くを学びました。少なくとも、私はそう実感しています。

こんなところでしょうか。自分を紹介するというのは難しいですね。まるで自分が自分の一番の理解者であるかのように振る舞わなければならないというところに、違和感を覚えるからかもしれません。むしろ自分が一番自分から遠い存在であるように感じるのは私だけではないでしょう。そう考えると、自己紹介とは、自分の知らないものをあたかもすべて知っているかのような顔をして語ることかもしれません。その意味では、演技と言えなくもないのでしょうか。

ひとまず、人文学部と聞いて容易に想像されるような人間をご想像頂ければ、私の輪郭は掴んで頂けると思います。

この度、ぱる公の皆さんのおかげで、ありがたいことに演劇に参加させていただく機会を得たわけですが、実を言いますと、私はもう演劇をすることはないと思っておりました。

演劇に真正面から向き合うにしては気持ちも濁っていましたし、意地でも演劇を続けるにしては勢いも萎びていました。

その気持ちを変えてくださったのが、ぱる公の代表さんを中心とした多くの後輩の皆さんです。

いつも私は人に生かされているなとつくづく思います。私だけの努力ではどうにもならないことがあまりに多い。

そんなとき、当たり前の顔をして、私を助けてくれる人が多く隣にいてくれたことに、月並みな言葉ですが、心からの感謝を贈りたいです。

その感謝を、私はこの公演で、私にできることをできるかぎりで果たしていくことで示すつもりです。

このように書くと、取り繕った綺麗事に映るかもしれませんね。美辞麗句を並び立てただけの、形式的な挨拶と思う方も少なからずいるでしょう。

実際、私もそう思わないわけではありません。しかし、自覚していない訳でもありません。繕われることのなかったなまの感情が私の中にあることは、私もまた自覚しています。

それでも、そうした感情をひっくるめて、綺麗に映るように、この公演を駆け抜けて行きたいなと今は思います。

どれだけ役者が苦労しても、どれだけ制作陣が苦労しても、お客さんが楽しむのは、舞台という本番だと思います。

そこでは、醜いものも美しいものも、綺麗なものも汚いものも、整ったものも不揃いなものも、感情も理性も、精神も肉体も、いろいろのものが入り混じっているでしょう。しかし、それらは作品として統一されているのではないかと思うのです。

たとえ役者や制作陣の葛藤や苦悩が垣間見えたとしても、それらが舞台を彩るとしても、あくまでそれらは背景であり、作品という統一されたものを構成する一部だと私は考えています。

そして、文章表現も舞台表現も、ともに表現であるという点では同じです。

この文章を御覧に頂いている皆さんは、私のこの綺麗事が空っぽの虚偽であると扱き下ろすこともできます。一方で、この綺麗事の奥に何かあると解釈して頂くこともできます。皆さんのご自由に解釈してください。それが表現の辿る宿命の一つであると思います。

そして、面白いことに、当の本人である私も、いまいち理解し切れていません。自己紹介と同じですね。

何はともあれ、宜しくお願い致します。

公演当日、多くのお客様のお顔を拝見できることを、心より待ち望んでおります。

『エマージェンシー・ワン』

作　　：小田 春

演出　：田中 晴愛

公演日：2023年3月3日19時開演（30分前より入場可能）

場所　：クリエイティブ・スペース赤れんがホールⅡ

料金　：一般1500円

　　　　学生1000円

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