曖(寺島)

初めまして、とご挨拶させてください。

今回の公演「Novelist」で作曲を担当させてもらっています。寺島響です。

作曲者とか作曲家とか自称するのは烏滸がましいですが役職を一言で表すならそうなってしまうような気がします。

作曲者の寺島響です。

とてもとても照れるけど胸を張って言います。

自らの退路を断ち、皆様の期待に応える為に。

私を信じて音響を預けてくれた公演メンバーに報いる為に。

私が、作曲者です。良い音楽を作ります。必ず。


さて。

先に宣言しておきます。今日のにっきは長くなります。

読まれる方はどうぞご覚悟の方宜しくお願いします。

そもそも言葉を紡ぐのが好きなんです。

加えてこういう場に登場するのは久々。

となれば言葉が止まらないのは自明、でしょう?

とか。言い訳です。

ご無理のない範囲でお付き合い頂けましたら幸いです。


ことの始まりは昨年の春。

私は故有って暫く演劇を離れていましたが、ぱる公の存在は存じ上げておりました。

SNSの写真越しにも伝わる明るくて優しくて柔らかな愛に溢れた公演メンバーの姿に密かに羨ましさを感じていました。

そして極めつけの

「3万字の脚本という名のラブレター」

「75分の演劇という名のラブレター」

の文字列。

惹かれて仕方ないでしょう。

羨ましいと思った。もっと言うなら。ずるいと思った。

私もラブレターを書きたいと思ってしまったんです。

何音になるか分からないけれど。私には音楽がある、と。

大好きな先輩方へ、私も私の世界の言葉で愛してるを伝えたかった。

でも私は弱虫で、直接作らせてくださいとは言えなかった。

だからSNSで「いつかぱる公の公演に宛てて組曲を贈りたい」と。

そうしたらね。うちの先輩凄いんですよ。

すぐに「叶えさせてください」とお返事を下さいました。

その結果が、今皆さんがご覧になっているこのにっきです。

作曲者としての寺島響です。

私が作った音楽は今の時点で何音なんでしょう。数えていません。

でも明確に。これが私のラブレターです。

正直ね。私は作曲のプロでも何でもありません。

音楽経験だけは長いですが知識もそう多くはありません。

正直。フリーBGMを使った方が完成度は高いかもしれません。

それでも。ぱる公の皆さんは私が作曲をすることを許してくれました。

私の音を美しいと。嘘がないと。透き通っていると。褒めて認めてくれます。

それにどれだけ救われているか分かりません。

どれだけ背中を押されているか分かりません。

曲を書けば書くほど皆様から言葉を頂いて、それに返したい愛が大きくなるのです。

本当に、大好きです。一人残らず。泣きそうになるほどに。


今回のにっきのタイトル。「曖」。

曖昧の曖ですね。

この漢字は今回の組曲中のとある曲のタイトルにもしている漢字です。

読み方はそのまま「アイ」。

訓読みだと送り仮名をつけて「曖う(おおう)」とも読むそうです。

陰るとか暗いという意味もあるみたいですが一旦そこは捨て置かせてください。

今回ぱる公と「Novelist」へ組曲を贈るにあたって、基本は脚本に準拠した曲を作りますが少なくとも一曲はぱる公の雰囲気を表した曲を作ろうと決めていました。

ぱる公の軸は御存知の通り晴愛先輩と春さん。

2人の愛と暖かさを表した曲が欲しい、と思っていました。

彼女たちは本当に柔らかく暖かい愛に溢れた人です。

彼女たちの愛は日の光のような愛だと思っています。

曲名決めるときにも陽を使うか愛を使うかだいぶ悩みました。

そんな時に見つけたのがこの漢字です。

日偏に愛。ぴったりすぎるでしょう?

そしてこれで「おおう」と読むのも。

彼女たちの感受性は、彼女たちの「愛しい」を、怖いものから守る傘のようなものだと感じています。

春の、日差しのような、愛で、覆って守る。

そんな彼女たちの音です。

この音は皆様の耳にどのような形で届くでしょうか。

それはまだ分かりません。が、きっと必ず届けます。

どうかお楽しみに。

この脚本と、この空間に溢れる「愛」を、あなたへ。

では。



ぱる公ホームページ

ぱるてのん(田中晴愛)が 山口大学演劇サークル劇団笛の仲間と共に始めた演劇 通称ぱる公のホームページです。